短編集 半分コ

 

短編集 半分コ出久根達郎(三月書房、2,300円+税)

母校拓大人とのつながりもある直木賞作家の短編小説集。人生半ばを迎えた主人公たちが、ふと過ぎし日を想うとき、その何気ない言葉やしぐさに心の内を垣間みる・・・どこか懐かしく、そしてほろ苦い16の小さな物語。「半分コ」の表題も面白いが、A6判の半分の(文庫本サイズの変形)大きさの本というのもかわいい。片手で持てるポケット本では言い過ぎか?330ページある。水戸の偕楽園を描いた「赤い容器」とか、知覧基地発の飛行機が落とした特攻花を偲ぶ「空襲花」など好読物がズラリだ。(M)