藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩

   2014/03/13

藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩

文藝春秋 ¥1,400+税

歴史に出会うちょっと知的な散歩日和―。多磨霊園(東郷平八郎、山本五十六ほか)番町文人通り(藤田嗣治と島崎藤村ほか)東大界隈(森鴎外、キャノン機関の痕跡)皇居周辺(藤原咲平、マッカーサー)諏訪(米軍の暗号を解読した若き数学者)鎌倉(夏目漱石、日蓮上人、川端康成)…。

著者は1943満州生まれ。敗戦で苦難に満ちた引き揚げ者。お茶の水女子大教授最終講義に拓大1期生の脇光三と最も縁の深い河原操子について論じた。数学者であり作家。ベストセラーに「国家の品格」や「名著講義」(文藝春秋読者賞)がある。

本書で感動するのは「護国寺界隈」(P121~149)だ。地下鉄茗荷谷、小日向台町のニトベ・ハウスの写真(拓大2代目学監、初代名誉教授の新渡戸稲造博士邸跡)では拓大校名、そしてイラスト地図も楽しい。母校周辺への郷愁に浸りたい人へは、お勧めである。

創立百年史編纂室協力員・宮澤正幸