一日一言366日 日めくり歴史名言集
出久根達郎(河出書房新社、¥1,700+税)
著者は直木賞作家。読売新聞「人生相談」回答者でもある。この本は「日めくりカレンダー」の格言・名言について発言者の人柄とかエピソードを紹介した1年分の物語形式だ。登場人物は勝海舟・坂本龍馬・夏目漱石・水木しげる・泉鏡花・尾崎紅葉・樋口一葉・平塚らいてう・福澤諭吉・内村鑑三・幸田文・森鴎外・与謝野晶子…で計366本。
拓大に縁がある人は61「眼中政党ありて国家なし」下村海南だけである。台湾総督府民政長官時代の講演が縁で朝日新聞副社長まで昇進した。財政人口食糧問題の本を収集した話は、いかにも後の第6代拓大学長・下村宏法学博士らしい。後藤新平第3代学長(元台湾総督府民政長官)の部下だった。
237「われらが日頃の抱負を知るや」東儀鉄笛について、<早稲田大学の校歌「都の西北」は、この人の作曲である>と出久根氏は断定しているが、これには異論がある。次の238「相馬御風」のページに<東儀鉄笛と各国の校歌を調べた>結果、米国イェール大学のカレッジソングをそのまま早大校歌に使ったのが真相だ。従って東儀作曲は誤伝?となる。ソプラノ歌手で学術博士の藍川由美さんがNHKはじめ、リサイタルなどで公表し、衝撃を与えた。
創立百年史編纂室協力員・宮澤正幸