漱石センセと私

 

表紙

出久根達郎(潮出版社、1,500円+税)

「一年半ぶりに長編小説を出版しました。ご時世で、小説といい、紙の本といい、なつかしいものになりつつあります。意地を張って、わざと古風な物語を仕立ててみました。お読みいただけましたら嬉しゅうございます。出久根達郎 『潮』七月号の宮澤様拝読。自伝を書いて下さいまし。」

ひとりの少女から見た、知られざる「夏目漱石」を描いた新感覚小説!と表紙の帯に。この本の主役は愛媛県松山の高等小学校1年生(現在の6年生)より江だ。次に下宿人の正岡のぼる(子規)同じく夏目漱石そして黒ネコとくれば「吾輩は猫である」の舞台だ。俳句仲間も集まる。この小説は実在の人物の集合体で、著者の思惑通り時代を追ってテンポ良く回転する。漱石が熊本の第五高等学校(現熊本大学)教授になると、漱石の妻鏡子も登場する。五高生の寺田寅彦まで。

のちに夫となる久保猪之吉(東京帝国大学医学生)を慕って上京し、府立第三高等女学校を受験する。昭和11年の久保より江(51)の発句「いのち一つ 守りあぐねて日向ぼこ」で小説は幕を下ろす。明治~大正~昭和をつないで壮大なロマンが一気に読者を興奮させてくれる。(M)

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