クァンガイ陸軍士官学校 ベトナムの戦士を育み共に闘った9年間
加茂徳治著(暁印書館、2,000円+税)
著者は拓大専門部15期(商科中国語組)1919(大正8)年4月、福島県二本松市本町に生まれ。県立安達中学校テニス部で明治神宮大会(現国体)に出場したほか、柔道も剣道もやった。それで卒業までに5年間(旧制)級長を通した。昭和17年2月、会津若松東部24部隊入隊後に甲種幹部候補生となり、仙台陸軍予備士官学校を卒業し、小隊長として南方ラバウル上陸。しかし敗戦はベトナムで迎えた。ここで内地へ復員する日本軍を離脱した。再びベトナムを植民地にしようとやって来たフランス軍に対する人民軍に参加するためだ。欧米列強に対するアジア植民地解放は当時全拓大生の真心であった。
加茂中尉は遊撃隊を率いて戦果をあげる。フランス軍パラシュート部隊の奇襲を受け、ジャングルや山林に身を潜めて抵抗した。ベトナム独立達成後、日本へ帰り、慶大言語文化研究所、早大語学教育研究所講師、日本ベトナム友好協会常任理事として活躍。だが母校拓大では全く知られていなかった。惜しいことに著者は2012年3月逝去。もったいない人物であった。
百年史編纂室協力員・宮澤正幸