週刊文春2月14日号 発売中

 

評判のよい連載<新・家の履歴書>は知る人ぞ知る、湯川れい子さん(音楽評論家)です。「長兄が戦争へ行く前、口笛のメロディーが」という1節と「長兄の日記帳を見ると外国映画を観歩き、アメリカの音楽を好んで」いたことがわかった―という部分。この長兄とは拓大38期の湯野川忠成さんで、山形県米沢市生まれ、東京・世田谷の海軍少将の長男。拓大騎馬部で活動しながらアメリカのジャズ音楽を好み、末っ子の妹さんに口笛で教えた。趣味の美術作品もアメリカ映画を主に描いた。1945(昭和20)年春、フィリピンに来攻した米軍と戦って壮絶な戦死を遂げた人。ちなみに次兄の湯野川守正さん(海軍兵学校71期)は海軍神雷部隊の特攻隊長で、その部下の森忠司少佐(佐賀・専門部17期)は沖縄へ特攻戦死。毎年3月、神雷部隊戦友会は靖国神社昇殿参拝に集まる。

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