「法廷通訳」須磨先輩、奈良県主催セミナーにて体験談を講演

   2014/06/02

「法廷通訳」須磨先輩①

去る11月24日、奈良県主催の「奈良県女性のための語学活用セミナー」において、中国語講師や裁判所の法廷通訳等で活躍されている須磨みのり先輩(中国語学科91期)が、ご自身の体験談を中心とした講演を行いました。

本セミナーは、奈良県在住の女性で「語学を生かし仕事や家庭の両立を図りたい方」「語学を生かした仕事に興味はあるが、何から始めて良いか分からない方」を対象に、就労に必要な技能やプランの学習、通訳者や同じ目標を持つ方々との交流を目的に開催されました。セミナーは講演会(45分)と意見交換会(45分)とに分かれて行われ、40代を中心に20~50代の方、約60人が参加されました(台湾や中国出身の方も参加されていました)。

須磨先輩は中国語の部で講演を行いました。最初に初対面の参加者同士の雰囲気を和ませる為、あるワークを行いました。それは、まず4人1組になり1人が自己紹介を行い、他の3人がその方の良いイメージを1分間言う、というものでした。このワークにより初対面同士の垣根は取り払われ、会場は和やかな雰囲気に包まれました。

講演会では、全てをさらけ出さないと熱意は受講者に伝わらない、というお考えから、先輩にとって辛い過去の話も含め、拓大を卒業してから中国語の法廷通訳や講師になる迄の体験を、ユーモアを交えながらありのままにお話しをされました。その熱意にセミナー受講者は時に笑い、時に頷きながら真剣に聞き入っておりました。

中でも今から8年ほど前、ご主人が病気になり生活の為、一時は中国語の学習を諦めざるを得ない状況になった時、ご主人の「中国語と関係のある仕事を選びなさい」という言葉で中国語を続けられた。そして通訳者・講師としての仕事が確立できた。という部分で受講者の大きな感動を得ました。

意見交換会では、受講者より以下のような悩みが出ました。「以前通訳学校で学習したけれど、仕事に結びつかない」「中国語を使う機会が無い」「仕事の探し方がわからない」「最初の一歩が踏み出せない」等。

これに対し「行動しなければ何も始まりません。最初はボランティアで良いので積極的に参加し、それを自分の実績にしてはどうでしょう。この時に頂戴したご縁を大切にして下さい。そうすればそのご縁が、次の仕事との橋渡しをしてくれるでしょう。4年後のなりたい自分をイメージして、最初の一歩を踏み出しましょう」と優しく語りかけました。

全てのスケジュール終了後、ある参加者が「私は離婚して、今日明日食べていくお金がないけれど、自分の好きな語学が諦められない。そんな身勝手な母親でいいのか?と思ったけれど、お話を伺いそれでもいいのかな…」といいながら、大粒の涙を流されました。

拓殖大学髙橋アフガン会幹事長 丸山聡(92期)

「法廷通訳」須磨先輩②