韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱

   2017/04/22

表紙

高 永喆(KKベストセラーズ、1,100円+税)

元韓国国防総省北朝鮮情報分析官で、拓殖大学大学院57回、同大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授を務める高永喆(コウ・ヨンチョル)氏が「韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱」を出版した。

第1章、第2章では、外務省OBで人気作家の佐藤優氏と対談を通して北朝鮮を分析した。第3章では、著者が幼い時から日本に憧れた物語が興味深い。将官級将校まで昇進が保障された著者が、政権が変わり軍出身の元大統領が逮捕される時、親日派政治将校として拘束された経緯(これが日本に渡るきっかけとなった)も明らかにされている。

歴代韓国大統領が亡命、暗殺、懲役、自殺する背景や、朴槿恵大統領を弾劾した親北左派の正体、さらには北朝鮮崩壊のシナリオまで追及する。

現在、米朝間の緊張がエスカレートする中、5月9日の韓国大統領選挙を控えている状況である。本書が知的好奇心を満足させる話題の本になりつつある。

高氏は、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んで人生観が変わる感激を受け、日本の虜になってしまった。国防省在職中に、日本特派員に提供した報道資料が秘密漏洩だと追及され拘束された。本国で親日派扱いされた氏は日本に渡って紆余曲折の苦労を経験した。拓大に入学したきっかけは、韓国大使館の駐在武官から「拓大は国際関係や安全保障分野が得意な大学だ」と勧められたことである。また、総長を務めた中曽根元総理が東大卒の海軍将校出身であることも拓大に魅了された理由だと言う。さらに、戦前拓大出身の先輩達が朝鮮に作った農魚村金融組合が戦後は韓国農協に生まれ変わるとともに、拓大京城分校がソウル大学経済学部の母体になるなど、韓国経済に大きく貢献したことにも感動したそうだ。(S)

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