花田紀凱 責任編集
(ワック、820円)

おすすめは＜我が人生に悔いなし [7]瀬戸内みなみ＞の「松島トモ子 戦後70年、母と娘の旅路」特集グラビアのトップが皇太子妃に決まったばかりの美智子様と。続いて嵐寛寿郎「鞍馬天狗」の杉作役。さらに初代横綱若乃花の腕にぶら下がる。などなど10ページと、カラーをまじえた6ページも。

昭和の名子役。「母もの」では小石栄一監督(24期生)との関わりもあっただろう。本文の中に母の志奈子さん(94)が登場する。祖父松島博二(13期生＝広島)が愛する中国(支那)にゆかりの名をつけた。トモ子の本名「奉子(ともこ)」も出生(昭和20年7月生)地の旧満洲国奉天(現瀋陽)と、マレーの虎こと山下奉文陸軍大将にちなむ。

父は三井物産社員で、母方の祖父(拓大)も同じ三井物産で海外生活が長かった。敗戦と同時に父はシベリアに抑留され、収容所で病死した。母子は、ずっと後になって父の埋葬地を探し歩いた。戦後70年ひとつの節目は松島トモ子と、その母にもある。合掌。(Ｍ)