拓殖大学韓国連絡事務所(拓殖大学韓国同窓会)訪問

   2014/04/12

韓国連絡事務所訪問

韓流ドラマの静かなブームが続いている。特に朝鮮王朝時代を舞台にした時代劇ドラマには失われた日本人の魂が伺われ、高い人気を集めている。今回、韓国の知人に連絡を取り、韓国人の心の故郷、安東市を旅した。李氏朝鮮時代の面影を残す両班の村(河回民俗村)では、当時の家屋がそのまま保存され、村人は我々と変わらぬ生活を営んでいた。美しい自然に囲まれた村を訪れ、すがすがしい気分に浸ることができた。さらにソウルでは拓殖大学韓国連絡事務所を訪ね、事務局長の金世萬氏(学86期)と交流を深めることができた。

連絡事務所は国会議事堂や証券取引所などが立地する政治経済の中心地、汝矣島から車で約5分、地下鉄孔徳駅から歩いて3分のところにある。高層ビル群が立ち並ぶビジネス街の一角で、金事務局長の会社が入っているオフィスビル内に間借りしている。

同所は、卒業生の親睦を深めることを目的に設立されたことから、正式名称は「拓殖大学韓国同窓会」。会長は金弘洙氏(学57期)。現在会員数は約3百人。金事務局長によると「昔は駐在員や大使館などに勤務していた日本人の卒業生もいたそうだが、今は全員が韓国人です。会員には大学教授も十数名いますよ。現在、韓国在住の卒業生は8百人ぐらいはいるのでは…」という。

活動としては、毎年12月に総会を開いているほか、期別ごとに集まって友好を温めているという。しかし、10年ぐらい前までは6月と12月の年2回総会を開いており、今以上に活発な交流を行っていたという。段々と参加者が減り、尻すぼみになっているのが残念だ。特に、日本国内の各支部と同様に、若手の参加が極めて少ないのが最大の悩みのようだ。

拓大は国際大学であり、全世界に学友が散らばっている。これらの学友に母校に対する愛校精神を高め、卒業後も組織的に強力に結び付けるにはどうしたら良いか、真剣に考える時期にきているのではないか。いずれにしても有形無形の財産が十分使われないまま地下に埋もれてしまっているのが非常に残念である。これらの知恵とエネルギーを最大限活用していくことが、今後の拓大発展の大きなカギになると思う。大学及び学友会は協力してプロジェクトチームでも作って大いに議論してもらいたいものだ。

ところで今回の旅でお世話になった金事務局長は、韓国の大学を卒業後、日本に留学し拓殖大学商学部貿易科を卒業。電通の関連会社に6年間務めた後、日本で貿易会社を設立して独立。工作機械メーカー・アマダの部品を韓国へ輸出する業務を手掛けていた。現在は、韓国の漢方関連の飲料水メーカーの企画・アドバイスや中国貿易などを行っているという。趣味は、旅行。学生時代には寝袋を車に積んで全国を回ったそうだ。

最後に、戦後、拓大は廃校の危機を乗り切るため、拓殖の名前を廃し紅陵大学に変更した歴史がある。そして、昭和27年には海外雄飛の伝統を復活させようと、大学関係者が執念を持って旧校名拓殖を復活させた経緯がある。今、大学は苦難の時代に入っている。今こそ、「拓殖」の言葉の原点に返り、現代の拓殖に合致した新しい拓殖大学をどう築いていくかが大学幹部を始めオール拓大関係者の重要な課題であると思う。

愛知県支部 稲垣博昭(学70期)