紅陵祭研究会発表から~インドネシア研究会~

   2014/05/06

紅陵祭研究会発表インドネシア研究会

インドネシア研究会は古くは拓南会と称したようですが、昨年の2008年に創部百周年の記念式典を開催したということです。戦後はインドネシア研究会という名で多くの学生たちが所属し活発な活動を展開してきた、拓大を代表する由緒ある研究会の一つです。そのインドネシア研究会の紅陵祭の発表を見てきました。現在の会長は百瀬達朗君(国際学科3年)所属人数12名(麗澤会登録09年5月1日付)ということです。今年度の発表はEPAにより「日本のインドネシア人看護師・介護士受け入れ」という、近年にマスコミをにぎわせた話題についてでした。昨年、日本とインドネシアは国交50周年を迎えました。そして昨年8月には既に104名のインドネシア人介護福祉士の候補が来日しています。

そもそもEPAとは外国と経済関係を深める外交政策の一つで、二国間で貿易の障壁を取り除く自由貿易協定をFTAといい、そのFTAを一歩進めて、もっと広い分野で自由化を目指す協定をEPAといいます。EPAは日本政府の”発明品”といわれており、経済連携協定の略をEPAといいます。インドネシア人介護福祉士候補は既に、同国の高等教育機関(3年以上)を卒業し介護士の認定を受けた人か、看護学校の卒業生である事が条件で、約二年間で最大600人を受け入れるという予定になっています。在留期間は4年で、全員が六ヶ月間の日本語や介護の研修を受けた後、各地の介護施設などに配置されます。来日から四年以内に日本の介護福祉士の資格試験を目指し合格すれば日本で継続して働く事や職場を選ぶ事も可能だそうです。働きながら受験勉強をする事の難しさは日本人でも当然ながら、インドネシア人にとっては尚更のこと、本年度に何人か受験したそうですが当然のこと、合格者は一名もおりません。なぜなら介護福祉士試験は日本人でも二人に一人しか合格できない難関の試験だそうです。しかし、日本にとって、介護現場に外国人を受け入れるという事は、いわば人材の「開国」を意味しています。人手不足を解消する有力な選択肢として、多くの介護施設が受け入れに期待と不安を持っています。ヨーロッパやアメリカでは看護師や介護士を外国から受け入れるという実績が既に長きに渡りあります。この面でもわが国の場合は非常に遅れていることと、そして、人材が足りないから外国から調達するという安易な考え方だけではEPAは成り立たない事をインドネシア研究会の学生は熱意を込めて説明してくれました。

ちなみに、今回の紅陵祭の殆どの展示物にいえるのですが、もう少し丁寧な字でしっかりと自分たちの主張を発表するということから程遠い内容と、その筆跡に少々がっかりさせられてしまいました。昔は字の上手い者が代表し展示物を書くという才能を生かした事があったなどと、ワープロばかりで悪筆なことを棚に上げて感じた次第です。

村上貴美子(大24回)