香港研修旅行感想文その2 福村香織

   2019/05/10

政経学部法律政治学科1年 福村 香織

香港の先輩や学生との交流について

私は、香港の学生や先輩方と交流して印象的だったことが三点あります。

一つ目は語学に対する意識の違いです。香港理工大学の学生達は誰もが「第二外国語として日本語を学び始めて日が浅い」と言っておりましたが、私達にはっきりと伝わる能力が十分にありました。私はこれまで強制的に英語を学ばされているとしか考えていませんでした。香港の学生は2~3年でその能力を身に付けたのに比べて、私は6年以上も英語を学びながら苦手です。それに対して香港理工大学の学生達は、日本のアニメや漫画などに興味があり、そこから語学は勿論のこと、日本の習慣や文化についても勉強しているそうです。日本文化については、事前研修で日本の伝統楽器やお祭りについて調べる機会がありました。日本ではちょうど夏祭りの時期でしたので、女子学生二人に日本の夏祭りについて興味があるのか尋ねると、盆踊りや浴衣に興味があり一度着てみたいと答えてくれました。私は友達や私の浴衣姿が写っている写真を見せて、浴衣の着付け方や夏祭りで使われている楽器について語り合いました。女子学生たちは、アニメや漫画の影響でそれらについて知っているようでした。私は娯楽から言語や文化を習得しようとする意識を持っていなかったため、大変参考になりました。私も帰国後は英語で書かれた子供向けの本やインターネット版の英字新聞を読むようになりました。香港理工大学の学生達と同様に、今後も積極的に娯楽から言語や知識を習得したいと思います。

二つ目は大学生活や将来に向けての意識の違いです。私は大学でただ何となく自分の興味のある分野だけを学べばよいと考えていました。将来に関しても具体的な就職先や職種を決めていませんでした。しかし、香港理工大学の学生は、自分の専門科目は勿論のこと他の分野の知識も豊富でした。私は政治学を学んでいますが、香港理工大学の学生に日本の政治や安倍首相についての意見を聞かれた時に上手く答えることが出来ませんでした。ある一人の男子学生には、「今の日本の政治についてどう思いますか?」と尋ねられましたが、自分の意見を相手に分かりやすく伝えることが咄嗟に出来ませんでした。まだ一年生とは言え、自分の国の政治に対する考えをはっきり言えなかったことや、知識不足であったことはとても恥ずかしい気がしました。これからは専門科目を更に学び、教養科目も様々な分野から習得して自分の知識を深めようと思います。

三つ目は海外で仕事をすることの厳しさです。私が今回の研修に応募した理由の中には、大学卒業後に海外で働くことが含まれていました。しかし、私の周囲には海外で働いている人がいないため、どの様に働いているのかを知ることも目的の一つでした。三日目に宮松先輩の会社を訪問し、実際に冷凍庫など社内の様子を見せていただきましたが、そこには日本でよく見かける調味料や食料が多く収納されており、その会社の仕組みや活動に理解を深めることが出来ました。宮松先輩が仰っていた中で特に「Day0(ゼロ)納品」は印象に残りました。アジアの中でも特に競争率の激しい香港では、他の企業がやっていない独自のサービスをしなければ生き残れないそうです。このことは仕事に関して漠然と考えていた私にとって大変参考になりました。研修へ行く前まで香港は、国際的な貿易や商業が発展している地域だと認識していました。そして、さらに宮松先輩の会社を訪問し貨物が多く積まれている港の様子を見て、香港がいかに発展しているのかを肌で感じるとともに、経済学についても新たな興味が湧きました。入門科目で経済学の初歩的な部分を学びましたが、もう少し勉強して専門科目としても理解できるようになりたいです。

プログラムに参加して思うこと

今回、香港研修に参加しようと思ったのは、昔から日本や外国の歴史に興味があったことと、今まで日本以外へ行った事が無いため、ニュースで発信される国際問題や海外事情が実際にどんなものか実感出来なかったことがあります。日本に近い香港は確かに世界の中で発展していますが、日本にいる限り、香港に対する印象は薄いと感じていました。しかし、今回、自分自身の目で見て、現地で活躍されている先輩方のお話を聞き、様々に感じたことをこれからの学習活動へ活かしたいと思います。

私はこの香港研修を通じて、今後の大学生活では語学力を上げるとともに、専門知識を身につけたいと考えています。実際、香港では日本語がほとんど使えず、拙い英語を使いましたが、自分の思いが相手に伝わらない不便さに苦労しました。更に、日本語さえ話せば何とかなるという自分の考えの甘さも痛感しました。英語は勿論、第二外国語として選択しているフランス語も力を養いたいと思います。

私は人前で発表することが苦手でしたが、事前研修から帰国報告会に至るまで何度も練習したことで、少しだけですが慣れてきたように思います。まだ、上手くできませんが、今後の大学生活では積極的に人前に出て発表したいと思います。

この研修の目的であった「次世代のリーダー育成」に関しては、研修前までリーダーは皆の考えをまとめ、良い方向へ導くものだと思っていましたが、それだけでは不十分だと考えるようになりました。リーダーの役割は、ただ単に皆の意見を総括するだけではなく、その時の状況や課題、限られた期間を考慮しなければなりません。リーダーに必要なのは統率力だけではなく、先見性も必要ではないかと思います。その先見性を養うためには、どのようなことが起きているのか、周囲の人間はどのような考えを持っているのか、或いは何を求めているのか等に配慮をすることが必要だと考えます。リーダーに語学力やあらゆる分野の豊富な知識を要求することも大事ですが、まずは観察力と適切な判断力が求められているのではないかと研修において感じました。

私は高校の部活で舞台監督を何度も務めたことがありますが、リーダーとしての能力が十分とは言えませんでした。統率することのみを考えていたことで進行が順調ではないことも多々ありました。この研修を通して当時を振り返ってみると、その時の私は統率力より大事な観察力や先見性が乏しい状態だったと気づくことが出来ました。今後は研修で学んだリーダー像に少しでも近づけるように、周囲への配慮や先見性を養い、人間的に成長していきたいと思います。

最後に、このような素晴らしい機会を与えてくださった福島先輩、ならびに香港・マカオ支部の学友会の皆様、香港理工大学の学生の皆様、事前研修から報告会までご指導をしてくださった国際課の皆様にこの場をお借りして感謝申し上げます。また、香港研修のために協力してくれた家族、この研修に参加した野口君、岩瀬君にもお礼を申し上げます。研修生としての意識が足りなくてご迷惑をおかけした点も多々ありましたが、知識だけではなく自分自身が成長出来ました。今後もこの研修で学んだことを生かして、残りの大学生活を過ごしたいと思います。