大相撲大阪場所を控えた千賀ノ浦部屋を訪問

   2014/06/02

大相撲大阪場所を控えた千賀ノ浦部屋を訪問

3月10日から始まる大相撲大阪場所を迎えるにあたり、元関脇舛田山関で財団法人日本相撲協会理事の千賀ノ浦親方(72期、拓殖大学髙橋アフガン会顧問)が、大阪府泉南市の長慶寺に宿舎を構えた。

本場所直前の3月3日、髙橋アフガン会有志9人は朝稽古の見学、並びに拓大出身力士(栃の山93期、拓錦104期―いずれも3段目)らを激励する為、宿舎を訪問した。

「突っ張りは1回で終わらせてはだめだ。2回やりなさい。1回だけでは相手の体勢は崩れないぞ」千賀ノ浦親方の厳しい指導が飛ぶ。「はい!」大きな声で返事をする若手力士。早朝の土俵には張り詰めた空気が漂っていた。稽古を見守る100名以上の関係者達は、息をするのも憚りながら土俵を見守っている。

土俵では幕下以下の申し合いが続いている。皆土俵に眠っている宝を手にする為真剣だ。鍛えた者同士がぶつかり合う音が続く。

10時頃になり、今人気急上昇中の幕内力士舛ノ山関が土俵に上がった。「あんま」と言われる稽古が始まる。これは上位力士が下位を相手に軽く調整を兼ねて行う稽古である。下位力士は全力で舛ノ山関に当たって行くが全く歯が立たない。軽く土俵下に叩きつけられてしまう。幕内力士と幕下力士とでは、これほどまでに実力が違うのか。体の厚みも違った。舛ノ山関と下位力士のそれを比べると2倍程も違う。普通の成人男性と比較するならば3倍以上は違うだろう。

この稽古は30分以上連続で続けられた。心臓に持病を抱える舛ノ山関には厳しい稽古だが関取は決して妥協をしなかった。この時、千賀ノ浦親方は下位力士に言った。「立ち合いで当たって行く時、強い相手だからと言って気持ちで負けていてはだめだ。実力が上の相手と真剣にやって相撲は強くなるんだ。それでは番付は上がらないぞ」この言葉には番付けを1枚でも上げさせてやりたい、という親方の気持ちが込められていた。

厳しい稽古はようやく昼前に終了した。その後ちゃんこを頂戴しながら千賀ノ浦親方と有志一同は楽しく会話をする事が出来た。

今、学校教育において生徒への指導方法が問題となっているが、親方は弟子への指導に対し次のように考えていた。「弟子は皆個性を持っているから、一人ひとりに適した方法で指導している。昔は早く強くさせたいという思いがあった。その為、休場すれば番付が下がってしまう本場所に、無理を承知で出場する力士を止める事ができなかった。しかし、これを繰り返すと怪我を慢性化させてしまうので、今は完治させることを優先している」

そして部屋頭の舛ノ山関については「千葉の出身で入門は中学卒業後だが、わんぱく相撲時代から部屋に遊びに来ていたので良く知っていた。性格はおとなしいがとても研究熱心。今年の4月に、そのわんぱく相撲でライバルだった同い年の遠藤選手(日大相撲部主将)が角界入りする。この事を聞いて、早く本場所で勝負がしたいと言うようになった。いい意味で欲が出たと嬉しかった。相撲は良いライバルがいると強くなる」

部屋の他の力士については「皆優しすぎる。彼らももっと欲を出して、自分はこうなる!と口に出してほしい。心では思っているのだろうけれど、プロなのだから自分を追い込んでほしい」

厳しい競争を勝ち抜いて来た親方の指導理念は迫力が有り、とても合理的だった。そしてなにより「押忍」の優しさが満ちていた。

千賀ノ浦部屋では後援会員を募集している。年会費と特典は次の通り(詳細はホームページ)。
一般会員:1万円、年六場所の番付表、カレンダー各1枚
特別会員:2万円、年六場所の番付表、カレンダー各2枚、他記念品、ちゃんこ会招待(2人)

拓殖大学髙橋アフガン会幹事長 丸山聡(92期)