拓殖大学百年史 昭和前編
5月29日、「昭和前編」が文京A館3階百年史編纂室に運び込まれた。これまでの「明治編」(269ページ)「大正編」(401ページ)と比べると「昭和前編」(819ページ)は約1、2㌔と重く、すごいボリューム感に溢れている。無理もない。本学創立の明治は11年間、大正は13年間、昭和前史は”旋風20年”と言われたように、20年間分あるので、そのぶん内容も濃くなった。
この調子でいくと年末に刊行予定の「昭和後編・平成編」は66年間分あるのだからどういうことになるのか?数年先には以上4部作の合本も計画されているのだが…。
さて「昭和前編」は<発刊の言葉―国運の中の拓殖大学>で渡辺利夫学長が、いみじくも説いている。「第二次大戦での敗北にいたる昭和前期は、日本の近現代史の中でも一段と複雑かつ不穏な時代(中略)」「その中で本学の学生と卒業生たちがいかにしてその生を全うしたのか、その息苦しくも激しく輝いた時代の記録が本書である。生きた歴史とはかくあるべきものかとさえ、私には思われる」。
本書の内容目次は別掲の通りである。が、通読して、この大記録は見事な読み物となっている。本学出身者が想を練り、筆を執ったものではないのに、それ以上に実に見事に拓大人と拓大精神が描かれている。(一部、第五章は卒業生が関与した)
<編集後記>では福田勝幸百年史編纂室長(現大学理事長)が「本百年史のめざす『人物主体』の編集方針を踏まえて」と書いたように、海外雄飛の人材、戦没学徒の物語は、映画を見るように活写されている。同室長はまた「昭和前編は亡くなった私達拓大の先人・先輩の霊を鎮魂する思いで編集したものである」と回想している。拓大レクイエムということである。
顧みて本学は常に国策の先端を切ってきた。狭い国土に過剰人口、この問題を抱えては平和的な海外進出しか日本の方策はなかった―。
(限定2千部、八王子・文京各購買会取り扱い=1部2,500円、送料450円)