古本屋歳時記 俳句つれづれ草

   2014/04/13

古本屋歳時記

出久根達郎
河出書房新社、1,600円(税別)

著者は茨城県生まれ、東京・杉並区で古書店主。1992「本のお口よごしですが」で講談社エッセイ賞を、翌年「佃島ふたり書房」が直木賞となるなど軽くて、洒落っ気のある文筆の才人。

「食べる魚」 みちのくの 淋代(さびしろ)の浜 若布寄す 山口青邨

本の123ページ所載に目が止まった。著者が12月の初め、陸中海岸の宮古市に出かけた。今回の3・11大震災の津波被害地である。酒飲みの友人が天下の珍味はホヤだ。ホヤは宮古に限ると力説した。ホヤは貝ではない。この旅は品川のバスターミナルから高速バスで早朝に終点(浄土ヶ浜)に着いた。その一つ手前が宮古駅前だ。友人と著者は、ドンコという魚の美味をたらふく食べて、また日帰りの高速バスに乗る。ところで淋代は青森県三沢市の太平洋岸で、北米大陸に太平洋横断飛行が最短距離の土地のこと。(サビシロのこと)

そして<あとがき>で今回の東日本大震災に出食わした状況が間に合った。朝日の夕刊は6月2日から「ニッポン人脈記」で(俳句 師を選ぶ)連載に入った。ノーベル文学賞選考委のイエーテボリ大学教授によると「スウェーデンでは今、俳句がはやっている」。