一、北満州の冬の夜
    馬蹄に軽く雪蹴って
  鉄騎南に一千里
    下る今宵は風すさぶ

二、配下二千の蕃声(ばんせい)
    とぎれとぎれて吹雪する
  寒冷馬の息凍る
    蒙古砂漠の夜の路

三、崑崙山(コンロンやま)朧月(おぼろづき)
    春の夜は良し心地良し
  いでや隊伍を整へて
    ハルピン突かん六百里

四、朝出て立つ長白や
    夕に渡る天山は
  世をかくれたる日東(にっとう)
    鉄魂志士の梁山伯(りょうざんはく)

五、沙浪(さろう)の果てに日は登る
    鞍上(あんじょう)跡を見かへれば
  我影長し十五(じょう)
    つゞく人馬の末かすむ