(1)(はる)絢爛(けんらん)のおとずれに 陽炎(かげろう)(おか)にさゆらげば
   こゝに眉濃き男児等は 緑に燃ゆる若草の
  強き生命の悦びを 胸に湛えて感激の
   集いも美しく永久に 身を練り魂を鍛え行く

(2)吊花の雨に讃春の 情操(こころ)も彩に消え行けば
   端樹に夏の陽はこぼれ 揺るゝ青葉の巨濤に
  清き血潮の湧き立ちて 充つる力を思うとき
   尊きつとめ拓殖の 希望(のぞみ)は高く翼打たむ

(3)秋澄明の空の涯 閑雲遠く漂えば
   思郷の詩歌(うた)を口吟さむ 心の琴に響あり
  憧憬妙に流れては 眸に熱き涙あり
   うつろひやすき青春の 純き瞑想(おもい)に恵あれ

(4)霜に傲りし紅葉葉は 昏き氷雨に褪せ果てゝ
   沈黙に冴ゆる明星は 啓示の色にまたゝきぬ
  この世の旅の首途する 整装若き男児等が
   燈火かゝげ酌み交す 宴に明かき團欒かな。

(5)嗚呼偸安の夢深く 苟且の快樂の影を追ひ
   堕落の淵に誘はるゝ 我が世を救ふ人や誰
  いざ起て若き學友よ 紅葉ヶ陵にほとばしる
   知識の泉掬ひつゝ 道義の光照さなむ。