一つとや 人の恐れる柔道部へ 稽古の辛さも知らないで 入部してくる 馬鹿もいる
二つとや 二言目には 手が悪い 腰が痛いと蹴飛ばされ 耐え行くこの身は 拓健児
三つとや みるみるうちにぶっ倒れ 夢は地獄を駆け巡る 気が付きゃまたまた落とされてた
四つとや 夜の夜中に飛び起きて 稽古するのは誰じゃいな それは○年の○○先輩
五つとや いつの世までも変わりゃせぬ 紅葉ヶ丘のおぼろ月 去年の今ごろ何してた
六つとや 無茶苦茶飲んだあの酒が 今朝の稽古にチョイト響く 二度と飲まぬと言うは誰
七つとや 何も言わずに別れたが 稽古けいこで絞られりゃ 想うはあの娘のことばかり
八つとや やめて帰りょと思ったが 性根がないのは馬鹿なのか 拓大の柔道部は辞められぬ
九つとや くよくよするな男なら やがて芽の出る時もくる 寒苦に耐え咲く梅の花
十とや とうとうやったと先輩に 肩をたたかれ喜ばれ 今夜の酒の旨いこと
終わりとや おやじ自慢の腕立てが とうとう出ました 千回も これじゃ 俺等の身がもたぬ
この数え歌は、昭和三十九年に当時三年生の山田美稲夫先輩(六十四期)が中心となり、みんなで作詞したものと記憶しております。翌年の昭和四十年には、見事、全日本学生優勝大会で優勝することができたわけですが、今、考えてみると、十番の詞の内容が、初優勝を予想していたかのような不思議な気がしてなりません。
そして、特に木村政彦先生に師事した者が一致して、学生時代、柔道に明け暮れた四年間を思い起こすに余りある、的を得た素晴らしい詞であり、以来、拓大柔道部の栄光の歌として、また部歌として、今日まで歌い継がれている所以であると思っております。
(六十六期・安齊)