平成29年度ロサンゼルス在住OB訪問研修報告その2
国際学部国際学科 1年 菅原 早絵
はじめに
今回のロサンゼルス在住OB訪問研修では9日間で様々なことを学び、体験させていただきました。この研修で私が目的としていたことは主に2つあります。ひとつは、先輩方がどのようにして今に至っているのかを直接聞くことです。具体的には、そもそもなぜアメリカだったのかということや、さらに現地の大学を卒業された先輩からは、その大学時代のことや卒業後どのようにして現地で就職したのかを聞きたいと思っていました。2つ目の目的は、研究テーマでもある、日本を客観的に見るということです。海外から見た日本はどのような国なのかを先輩方に聞いたり、アメリカで見られる日本文化の受け入れられ方を実際に見たりして、日本の良さを再確認し、さらに日本が問題視されていることなどを知りたいと思いました。
研修内容
ロサンゼルスでの研修は実質8日間でした。1日目、ロサンゼルスに到着した日は、主にハリウッドを観光しました。その週末にアカデミー賞授賞式が行われる予定で、所々規制がかかっていましたが、普段映像でしか見たことのなかったドルビーシアターの間近まで行き、授賞式直前の緊張感を感じることができました。その日は古谷先輩宅にホームステイをさせていただき、夕飯は奥様のベティーさんがメキシコ料理を作ってくださいました。翌日は、ショッピングモールに行った後にカリフォルニア発のハンバーガーショップ「In-N-Out」で昼食をとりました。日本にはまだ未出店ですが、もともと知っていて今回の研修でぜひ行きたいと思っていたので、本当にうれしかったです。昼食後は、古谷先輩のお宅に近いゴルフ場で打ちっぱなしを体験しました。ゴルフ自体初めてでしたし、何よりも緑色のネットがないゴルフ場を見て、アメリカの土地の広大さを実感しました。その日の夕方は、古谷先輩が焼いてくださったステーキをご家族と一緒にごちそうになりました。
3日目は、荻野先輩の奥様が務めているアダルトスクールのESLの体験授業を受けました。その授業では、国、地域問わず様々な人たちと出会い、改めて国際社会での英語の大切さを感じました。英語だけの環境に置かれたときに、逃げてしまいそうになる自分もいたのですが、同じグループにいた韓国人の方々や、日本人の方がひとつひとつの単語をわかりやすく説明してくださり、楽しく授業を受けることができました。体験受講の後は、桑原先輩のSUDCO社を訪問しました。桑原先輩へのインタビューでは、渡米から今に至るまでのことや、アメリカの企業と日本の企業の違い、今の日本に対しての考えなどたくさんのこと聞かせていただきました。そこで印象に残っていることは、「出会いを大切にすること」です。やはり、いつ、どんな出会いが自分にとって大きなカギとなるかはわからないからこそ、ひとつひとつの出会いを大切にしていかなければならないと思いました。その日の夕食は「AKASHA」というレストランで食事をしました。
4日目は映画「ラ・ラ・ランド」でも使われ、様々な映画のロケ地として有名なグリフィス天文台に行きました。天文台からの景色は雨の影響でほとんど見えない状態でしたが、映画に使われる場所に自分がいるということだけでも貴重な体験でした。午後は畠先輩が経営されているSWAN社を訪問し、そこで生産されているフェンスの生産工程やこだわりなども見せていただきました。畠先輩には、人生は短いからやりたいと思ったことは積極的にやりなさいと言われました。お忙しい中でのお話ではありましたが、海外で成功された先輩からの熱い一言にはとても説得力を感じました。さらにその日は、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の日系人学生発表会を拝見させていただきました。発表会では、テーマに合わせた劇と、ダンスや太鼓、踊りなどが披露されました。今年の劇のテーマは東日本大震災で、私は東北地方の出身なので、震災から7年経った今でも、遠いアメリカの学生がそれをテーマにしていることに感銘を受けました。さらに劇だけでなく発表会全体を通して学生のパワーがあふれていて、強い刺激を受けました。
5日目は出木谷愛里さんの案内でUCLAを見学させていただきました。先輩方は「日本の学生に比べ、アメリカの学生はよく勉強をする。」と口をそろえるようにおっしゃっていたのですが、見学していて本当にそうだなと思わされました。前日には発表会があり、さらに休日であるにもかかわらず、図書館や学校全体に学生があふれていました。図書館は24時間開館していて、テスト期間には泊まり込みで勉強をする学生も多いそうです。前日の発表会を含め、日本の大学とはまた違った雰囲気を味わうことができて、とても良い刺激になりました。その日の夕方はロサンゼルス支部の先輩方にシーエンペレスレストランという中華料理店で歓迎会を開いていただきました。拓殖大学校歌から始まった歓迎会は終始賑やかで本当に楽しかったです。特に日本と各国の間で起こっている国際的な話題についての先輩方の熱い意見を聞いていてとても勉強になりました。海外にいても日本のニュースにしっかりと耳を傾けていることや、自分なりの意見を持っていてさらに根拠もしっかりとある先輩方の様子を見ていて、私もこんな風に自分の意見を堂々とぶつけられる人間になりたいと思いました。
6日目と7日目は少しロサンゼルスの中心から離れ、カリフォルニアディズニーやエンゼルススタジアムなどを観光しました。また、荻野先輩の案内でサンディエゴにあるメキシコとの国境付近も見学しました。日本は島国なので陸にある国境というものに馴染みがないということや、トランプ大統領の発言でも注目されていたので見学はとても楽しみにしていました。行ってみると、テレビでの映像や私の想像以上に警備が厳重だと感じました。さらに、1枚の壁を挟んで、生活水準や環境が全く違う世界が広がっているということをとても不思議に感じました。
研修日8日目は金城先輩が経営されているニューヨークライフ保険会社と故山本先輩のご子息が経営されているS.C.Yamamoto社を訪問しました。S.C.Yamamoto社では桜の植樹などを行っていて、会社訪問の後には実際に桜が植樹された記念公園に行きました。まだ幹は細いものの、ロサンゼルスの地で拓大の先輩が努力して植えた桜は、日本とはまた違った美しさがありました。大きくなり、満開の桜を咲かせた姿をぜひまた見に行きたいと思いました。その日は夕飯前に金城先輩にインタビューのお時間をいただき、お話を聞かせていただきました。そこで印象に残っていることは、歓迎会の時にもおっしゃっていたことで、「努力を怠らない」ということです。どんなことであれ自分が本当にやりたいと思ったことや、本当に好きなことはどこまでも追及すること、ひとつのことを追い求めることが一番大切なことだと言われました。私はまだその一つを見つける途中の段階にいますが、今回の研修で少しずつ見えてきたこともあります。そして何より、どんなことにでも挑戦し、努力をしてきた先輩方を見て、挑戦に対する勇気が湧いてきました。
感想とまとめ
今回の研修ではこの報告書にはまとめきれないほどたくさんのことを学び、経験させていただきました。日本とアメリカの企業のシステム違いや、アメリカに住む先輩方からのアドバイスは今後の学生生活と卒業後の進路を決めるうえで役に立つことばかりだと思います。また、今回の研究テーマであった日本を客観的に見るという点では、日本の良さをその本質から理解し、再確認できました。日本の文化や、日本人のまじめで仲間を思いやる気持ちというのは海外からも評価されていて、誇るべき良さでした。反対に、多くの日本人が自信を持っているだろうメイドインジャパンの落ち度には日本人として知っておくべきだろうと思いました。調べてみると海外では ”What’s wrong with Japan Inc?” という見出しのニュースも見られます。日本人が母国について知らないということを再認識し、今後グローバルな人材になるためにも、海外の話題だけでなく日本国内のニュースや日本とかかわる海外での出来事に常に耳を傾けていきたいと思いました。
私が今回の研修で得たことは主に3つです。ひとつはオープンマインドな考え方をすること。アメリカには様々な人種の人がいて、その分考え方も多様です。自分が正しいと思っていることが相手にとっては正しくないという場合は多々あります。これは日本でも同じことです。しかし同意ができないときに、相手の意見を受け入れる必要はないけど、受け取る必要はあると思います。どんな意見も自分なりに理解しようとすることが大切だと感じました。2つ目は自分の母国の良さに誇りを持ち、問題点についてはしっかりと知っておくべきだということです。そのためには日本や海外の時事話題に常にアンテナを張ることが必要です。3つ目は、本当にやりたいことを見つけ、それを追求すること。私は映画が大好きで、今は映像関係の仕事に就きたいと考えています。夢は映像配信会社のオリジナル作品の企画に関わることです。
今回の研修で、私は自分のやりたいことが徐々に見えて、それに正直になることができました。これはいろいろなことに挑戦してきた先輩方との出会いがあったからです。この出会いと自分自身への気づきを今後も大切にし、勉強や課外活動では積極的に活動していきたいと思います。
本研修にあたってご尽力いただいた拓殖大学学友会の皆様、そしてロサンゼルス支部の先輩方へ心から感謝を申し上げます。皆様のご協力を決して無駄にすることがないよう、今後の学生生活を今まで以上に充実したものにしていきたいと思います。そして最後に拓殖大学と学友会のさらなる発展を願い、研修報告とさせていただきます。本当にありがとうございました。