戦後賠償研修生をたずねて

   2014/03/25

戦後賠償研修生をたずねて

昨年9月、約50年前に拓殖大学で受け入れたインドネシアからの戦後賠償研修生を訪ねた。

218人の名簿に基づき、インドネシアの拓大提携校の教員及びプルサダ(元日本留学生の会)の協力を仰ぎ、現在10人がご健在であることが確認でき、4人の方と話をすることが出来た(さらに1人はご本人がすでに他界していたためお嬢さんから話を聞いたので、情報としては5人)。彼らとの話の中から、現在ご健在なのは合計8人であることもわかったので、今回会っていない方に早い時期に会いたいと思っている。なぜなら、インドネシア人男性の平均寿命は68歳くらいと言われており、彼らの中で一番若い方でも74歳なので平均寿命を大きくオーバーしているからである。

今回お会いした方々は、拓大での日本語研修の後、日本の企業・大学等で研修を受け、帰国後は国が関係する企業・機関でご尽力をされ、定年後は1人を除き自ら企業を立ち上げ未だに第一線で活躍されている。現在でも日本と行き来をしている方もいる。

拓大ではたった6ヵ月の研修であっが、当時お世話になった先生の名前を覚えており、卒業後インドネシアで仕事をしていた卒業生と交流を持っていた方もいた。彼らは異口同音に「政府間レベルの協力よりも、まず民間レベルでの協力が大切である」と言い、拓大の学生には「もしインドネシアに来ることがあれば、ジャカルタにいる先輩達に会って学びなさい」と語っていた。

賠償研修生の中には、一時期拓大でインドネシア語講師として教壇に立ち、帰国後はインドネシアを代表する歌手となった方もおり、218人の足跡を辿ることは興味が尽きないことであり、本学の財産のひとつである。

八王子学生主事室 岸澤輝明(79期)