「くにたち大学町」の誕生―後藤新平・佐野善作・堤康次郎との関わりから―

   2014/03/13

「くにたち 大学町」の誕生

2013年1月初刷り 長内敏之著(けやき出版、1,500円+税)

あの三角屋根の国立駅舎が象徴する学園町は如何にしてつくられたのか―今に残る草創期の資料を紐解き、歴史の謎を追いかけた記録―と本のオビにある。一種のアーカイブスと考えたい。そもそも国立市を有名にしたのは一橋大学だ。これは拓殖大学にとっても貴重なアーカイブスである。

1923(大正12)年9月1日の関東大震災の結果、神田一ツ橋にあった官立東京商科大学がJR南武線の矢川駅~谷保駅、そしてJR中央線国立駅の町の中心に移転してきたことに始まる。しかし、後藤新平が「くにたち大学町」づくりに強い影響力を持っていたことはだれも知らなかった。後藤は拓大の第3代学長だ。この本は台湾の町づくり、満洲国の首都計画と後藤の功績から解説するので、全編179ページの終末まで後藤が登場する。大正から昭和にかかる時代と世相については2月16日付読売新聞12~13文化面が参考になる。

拓殖大学百年史編纂室協力員 宮澤正幸(51期)