グアム・インターンシップ研修報告(高橋誠児)
拓殖大学北海道短期大学経営経済科2年
C21034 高橋誠児
1.事前研修内容
今回のグアム・インターンシップへ実際に行くまで、7月から数回にわたり小林先生を中心に各先生、先輩を含め、事前研修と題しさまざまな手解きをしてきました。内容としては7月に前年度の海外研修に行った先輩の体験談を聞かせていただき、また写真を見せていただいて、全体のイメージを持つ事ができました。次に冬休み明けからは、小林先生、小滝先生から海外で生活をするに当たっての注意事項を教えていただきました。例えば、防犯について。海外は日本と違い治安が悪いため、鞄を後ろでしょっていると危なく、また観光客と分かるような服装をしていると狙われる為、華美な服装は避ける、など非常にためになるお話でした。
また、12月に団結式が行われ、「あくまで研修であり、学友会から援助を受けて行く以上責任を持って参加するように」とのお話と、また学長の、「違う国の土を踏むことは自分の栄養になる」というお話をいただき、改めて自分が拓殖大学北海道短期大学の代表として行くことの責任を感じ、身を引き締めました。それからはパスポートを作ったり、グアムのレオパレスリゾートへの履歴表を書いたり、契約書に英語でサインするなどしました。2月には平尾先生から英語のレッスンや行くまでの英語の勉強方法などを教わりました。
今回は国際情勢の理由で就労ビザが下り辛く、なかなかアメリカ大使館と面接日程が決まらず、その影響で拓殖大学国際学部の研修参加生徒と事前に顔合わせする機会もありませんでした。結局、就労ビザは得られず研修内容に多少の変更は出てしまったのですが、随時小林先生からご連絡をいただき、直前まで励ましていただきました。
最後に2月26日に東京のレオパレス21の本社にて事前説明がありました。ここでは日程、班割、入国審査の流れ、レオパレスリゾートグアムの大まかな施設等の説明があり、研修のイメージを掴むことができました。他にも外貨に換金しておいたり、変圧器を買ったり、グアムの気候に合った服、つまり今回の場合日本では季節外の半袖を用意するなどの準備をしました。
2.実習内容・報告
3月1日(午後3時半頃、研修先グアムレオパレスリゾートに到着)
飛行機から降りるとすぐに外に出られる訳ではなく、入国審査に1時間もかかりました。一人ひとり指紋や顔を登録し、書類のチェックもあったからです。また旅の目的や職業等を質問されて、「今世界はここまで厳重に審査しないといけない社会(不法滞在者や不法入国者がでてしまうような)なのだなぁ」と感じました。また、並んでいた時に日本人の多さにもびっくりしました。空港にいる旅客の8割くらいが日本人で、まだ国内にいるように感じられました。
レオパレスに着くとレオパレスリゾート内にある和食レストラン「壱岐(いき)」にて親睦会が開かれました。そこにはレオパレスリゾート管理部門人事課・副支配人の関根さん、営業部門の柳町さんが出席され、「君たちは社員ではないがお客からしたら関係ないので、むしろ日本人観光客が多いなか、現地人社員との間に入りパイプ役を果たしてほしい」とのお話をされました。他には自己紹介や、今回の仕事の大まかな説明を受けました。
3月2日(人事部研修・施設見学)
午前中に、会議室にて関根さんからレオパレスリゾートの規則等について説明を受けました。アメリカは日本と違い保険制度を国ではなく会社が負担する仕組みになっていることや、サービスマンに必要な5つの行為、さらに「HARASSMENT PREVETION POLICY」といういわゆるセクハラについての処罰の厳しさ等、さまざまなお話がありました。午後はリゾート内の施設見学と柳町さんの車でスーパーマーケットに食材、生活用品を買いに行きましました。
3月3日(空港・ウェスティンホテルの施設見学)
午前中にグアムの空港を見学したのち、ウェスティンホテルへ移動・見学をしました。ウェスティンホテルは細部にまで凝っていて、例えばBGMにはホテルのイメージに合った曲をかけたり、石鹸やシャンプー、部屋にいたるまで同じ香りで統一したりと、視覚だけではなく五感全てで訴えかけるそうです。さらに日本人を意識して、バスルームには固定式シャワーだけでなくハンド式シャワーもあるなど、他のホテルとの差別化に、とても感心しました。
3月4、5日(ベルデスク研修)
ベルデスクの主な仕事は、レオパレスリゾート内を巡回しているシャトルバンのドアの開閉や、繁華街へ行くバスにお客様を誘導、空港行きのバスに荷物を載せたり、逆に空港から来たバスの荷物を降ろしたりすることです。ぎこちないながらも、なんとか仕事をこなしていました。しかし、シャトルバンの運転手の一人が腰を患っていたので、助手席に乗り、荷物の出し入れの際に手伝うという仕事をしていたときです。お客様が「部屋に用があるから、2分だけもらえないか」と聞かれたので、私自身はお客様のためと思い、また日本語の出来ない運転手とのパイプ役を果たしたく勝手に承諾してしまい、お客様は荷物をバンに置いたまま出て行きました。その旨を運転手に片言ながらも英語で伝えると、「それは本来だめなのだよ。今のお客様を待っている時間、他の客を待たせてしまうでしょう?」と、言われてはっとしました。
ひとりのお客様により良いサービスをしようとした結果、他のお客様に迷惑をかけてしまう場合があるのだと気づかされました。実際そのお客様を待っている間に他の場所からシャトル要請の連絡が無線から入り、助けに来たのに逆に迷惑をかけてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。運転手に謝ると「初めてなのだから気にしなくていいよ。ここらからいっぱい学んで、学んで。」と励まされました。本当にやさしい方で、私はすぐに元気を取り戻せました。
3月6日(休日)
3月7~9日(フロント受付研修)
フロント研修の主な仕事は、外線、内線の電話対応やルームチェック、またチェック・インするお客様に施設の説明などです。外線電話はほとんどが英語だったので、毎回と言っていいほど答えることが出来ず、現地従業員に代わってもらってばっかりでした。そのうち電話が鳴った時に「でてもどうせ分からないし、また代わってもらうのがオチ」というような考えが頭によぎってしまいためらいが出てしまいました。そんな中、分からなくとも臆せず電話をでる友達をみて、また励まされました。失敗をおそれず行動に移すことの大切さを改めて実感しました。
また、フロントのあるホテル棟とは別の棟に宿泊のお客様に荷物を届ける仕事の際に、何棟までは覚えていたのですが、何号室か忘れてしまい、電話でフロントに聞き返すという失態を起こしてしまいました。他の重要な仕事はちゃんとメモを取って覚えていたのに、数分前に教わった、たった3文字の数字が思い出せなくて、簡単な仕事だった分恥ずかしかったです。これからはどんなに簡単な仕事でもメモを取るよう習慣づけようと思いました。
また、勤めて一週間も経つとお客様の方が顔を覚えて下さる場合があるので、いつでも変わらない対応をしなければならないと感じました。お客様の中には10年以上前から毎年来て下さっている所謂常連客がいて、私以上に詳しく、また従業員とも仲がよくすごくアットホームな感じがしました。今までの私は「宿泊するなら様々なホテルに行って色々なサービスを受けたり、他のホテルとの違いを楽しんだりしたほうが得だろう。」という考えでした。しかし、今回のお客様を見ていてひとつの場所に通い続ける良さを教えて頂きました。
3月10日(休日)
3月11~12日(ゴルフクラブ研修)
ゴルフのクラブハウスでの主な仕事内容は、フロントでお会計(クラブやシューズの貸出、コース料などの合計)、コースにて軽食販売の補助、ゴルフカートのスタンバイ(ホースや布巾で清掃、飲み物補充)などです。クラブハウスは朝6時から仕事なので、まず朝早く起きるのが大変でした。フロント業務は9時までで、あとはコース場での仕事でした。ゴルフカートでの軽食販売はコースからコースへの移動時間が長いので、その間現地従業員と会話する時間が多く、どちらかというとクラブハウスでは仕事よりこの会話(異文化交流)から様々なことを学べました。
グアムの人は割と若くして結婚したり、子供を持ったりするそうです。兄弟も多いようで、初対面では「家族は?結婚は?子供は?」と、家庭に関することをよく尋ねてくるし、逆に家族の話をよくしてくるので、家族を大切にしているのであろうなという印象をうけました。私は日本では大家族な方なので、兄弟の人数などを答えると向こうも反応がよく、お互いの家族の写真を見せあいもしました。
3月13日(他ブランドホテル見学)
最後の研修内容は、研修生全員での他のブランドホテルの見学でした。どのホテルもウェスティンホテルのように他のホテルとの差別化に力を入れていました。例えば、ロイヤル・オーキッドホテルなら内装が凝っていて、廊下にバイクが飾ってあったり、ファミリーレストランの「カプリチョーザ」が入っていたり、プールに加えジムも無料で利用出来たりと、割と若者や活発的な人を対象にしていると感じました。
そうかと思えば、マリオットホテルでは”いやし”を追求していて、ロビーにはゆったりとしたソファーとミネラルウォーターやコーヒーのサービスがあり、また鳥を飼っていたり、BGMにはピアノミュージックを採用していました。本当にどのホテルも素敵で、入った時点で違いがわかる程それぞれの”売り”に特化していました。
3月14日(お別れのあいさつ・帰国)
最終日の午前中は柳町さんから食事を御馳走して頂きました。彼は今回の研修に一番関わってくれた方なのですが、本当に親切な方でした。私たちの親睦を深めるために自宅に招いてくださったり、仕事が出来たら褒めてくださったりしました。また、13日の朝の集合の時の出来事でした。私ともう一人の研修生が集合時間に数分遅れてしまいました。その時は何も言われず、そのまま話が始まったので、「ぎりぎり間に合ったのか。」と思い、私たちは謝りませんでした。しかし後になり「社会に出たら、本当に数分の遅刻でも命取りになるし、5分前行動は当たり前でしょ?それからちゃんと謝ること」と注意を受けました。もちろん、反省はしたのですが、それ以上に柳町さんは私たちを研修生とは扱わず、ちゃんと一社員として上司の立場から叱ってくださったことに感銘を受けました。柳町さんは常に私たちの事を気にかけ、時には上司、時には友達のように接して下さり、最後にサプライズでカラオケ大会まで開いて下さいました。逆に私たちからもサプライズでアルバムをプレゼントしたり、一緒に歌を歌ったりして本当に楽しい時間を過ごしました。
そんな柳町さんを始め、本当に優しく親切に接してくれた社員の方々とのお別れの時はやはり切なかったのですが、同時に大変な仕事だった分終わった後の一種の達成
もあって、満足だけど寂しい複雑な心境でした。また、つらいことでも逃げ出さずやり遂げると、あとに帰ってくるものが大きいことを改めて教えて頂きました。
3.実習を終えて
私は海外や異文化に興味があり国際学部に編入希望でこの拓殖大学北海道短期大学に入学しました。編入後の長期留学などにも興味があったのですが、経済的に余裕がないのであきらめていました。しかし、今回の海外研修は経費、期間も私にあっていたので、参加をすぐに決心していました。
今回の海外研修を通じて私が感じたことは、新たな環境に行くことの大切さです。私は正直な話、高校・浪人時代の4年間はあまり充実した生活を送っていませんでした。そんな自分を変えたいという気持ちもあり、親元を離れてこの拓殖大学北海道短期大学に来て、新たな生活に励みました。この事が私にとっては大きな経験となっていて、海外研修に応募した当時まだ半年しか経っていないながらも、ここにきて良かったと感じていました。
そういう体験がもとにあり、今回の海外研修の参加を決め、実際に行ってきてみて、やはり良かったと思いました。自分の物事に対する姿勢が更に積極的になれて、チャレンジ精神も養われたと思います。新たな環境は本当に全てが新鮮で刺激的で毎日に活力を与えてくれます。「何事も経験」というように様々な経験をして、それを自分の糧にしていきたいです。
それに新たな環境というのは何も新しい経験、知識をふやすことだけではなく、今までの自分に新たな発見を出来たり、見つめ直すことができたりします。今回の海外研修では自分の英語力のなさがそれに当たると思います。「日常会話程度なら何とかなるだろう」と思っていたのですが、それは本当に間違いで、「B」と「V」が本当に聞き分けられなかった時は自分を情けなく思いました。それに好意でいろいろな人がせっかく話かけてくれたのに、言っている意味がわからず話が中断してしまった時や、相手が言っている英語の意味は分かっても、自分が答える際に英語ではなんと言って良いか分からない時などは本当に悔しかったですし、申し訳なく感じました。それでもなんとか聞き取ってジェスチャー混じりの片言英語で応え、なんとか通じ合えた時の喜びは今でも覚えています。
私は人とコミュニケーションをとるのが大好きです。ですからいつかは必ず、まずは英語から習得して、日本人だけでなく世界中の人と触れ合いたいです。
最後に、今回このような素晴らしい経験を出来るよう協力して下さった先生方、レオパレスの皆様、拓殖大学学友会、家族、友達に本当に感謝しています。ありがとうございました。