篠原 市之助 作
一、濤々昇る旭日の
御旗の下に立たんかな
命は、永久に蒙彊の
西北角に吾等あり
燃ゆる包頭大機関
二、黄河流れて三千里
砂丘は招くオルドスの
かなた
皇化に浴さす吾等あり
燃ゆる包頭大機関
三、使命を受けて悠遠の
歴史は、二千六百年
草原そむる先駆者の
血潮かしこみ吾等あり
燃ゆる包頭大機関
四、悲壮にわたる厳寒や
黄塵万丈朔風を
突きて仰ぎて工作の
最前線に吾等あり
燃ゆる包頭大機関
作者略歴
篠原市之助氏は五・一五事件に挺身、出獄後渡満伊達順之介の翼下に投じ部隊参謀、その後関東軍蒙彊五原特務機関にて最前線工作に従事しありたるも、吾に数倍する敵襲を受け、守備隊退却したるに、特務機関員として非戦斗要員たるにかかわらず最後まで五原城頭を死守してゆずらず、身に数弾をうけ身体の自由を失うに至り、割腹して己の内臓を敵に投つけ、壮烈鬼神を泣かしむる戦死を遂げた。