萩市シティセールスin東京
萩市の観光をPRするイベント「萩市シティセールスin東京」が8月6日、文京区のホテル椿山荘東京で行われた。
椿山荘は、山県有朋が一帯の土地を買い造った庭園が引き継がれているものであり、萩ゆかりの地である。拓殖大学の創立者桂太郎公は長州藩士桂家の出身で、井上馨と義理の親子の関係であった。第16代総長小田村四郎氏は、大河ドラマ「花燃ゆ」の登場人物小田村伊之助の曾孫であることも話題となっている。
第1部は野村興兒萩市長によるプレゼンテーション。萩の町並みの中で暮らす人々を題材にした大和ハウスのCMが最初に上映された。城下町萩の歴史は1604年の毛利家減封から始まる。当時から藩校が多く、長州征伐時には合議書36万部が印刷され各戸に配布されたが、これは識字率の高さを表している。昭和7年市制施行、昭和8年に山陰本線が開通し、国際貿易港となるなど、発展した時期もあった。大規模な自然災害に見舞われず、太平洋戦争中も空襲に遭わなかったが、戦後は経済成長から取り残されたので、土塀の中の夏みかんの木など江戸時代の町並みが残っている。これをいかして「町中が博物館」とする条例を作った。夕日百選に選ばれた海岸や、椿群生林といった美しい自然風景もある。吉田松陰と志士たちのゆかりの地としても有名で、今年は大河ドラマ「花燃ゆ」の放送で注目が高まっている。萩市は周辺市町村と合併し、東京23区よりも広い面積となったものの、その多くが中山間地で、人口は5万人。山陽とのアクセス強化が課題であるが、道路整備が遅れている。萩焼と水産、農産に力を入れ、内外にアピールしている。市内では5つの史跡が世界文化遺産に登録され、松下村塾も含まれている。旧明倫館小学校を整備し、観光の起点として活用できるようにしている。―という内容。
次に松村孝明萩市観光協会会長の観光PRが行われた。市長のプレゼンテーションが大きく時間オーバーしたようで、大河ドラマによる観光の盛況、世界遺産と映画「長州ファイブ」(イギリスに密航留学した伊藤博文、井上馨、遠藤謹助、山尾庸三、井上勝)、明治維新150年に向けての取り組みを手短に説明した。
プレゼンテーションの最中、茨城県を震源とする地震があり、会場が揺れて一時ざわついたが、進行に影響はなかった。
休憩を挟んで第2部は、オープニングに萩ふるさと大使の狂言師和泉元彌氏と2人の女性狂言師による祝言小唄「若松」が披露された。続いて「萩SHOWIN隊」と「椿娘ADEYAKA」による歴史パフォーマンスが行われた。これは萩市民がキャストを務めるミュージカル「SHOWIN~若き志士たち」の特別短縮バーションで、平成22年の世田谷公演の際には学友会も招待を受け観劇したことがある。
会場では萩の地ビールや、萩産の食材を使った料理が振る舞われた。萩焼陶芸作家のろくろ回し実演もあり、鮮やかな手つきで湯呑みや皿などを作り出していた。(S)