春の園遊会に招かれて
一戸隆男(69期=昭和45年商学部貿易学科卒、公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会会長)
「天皇皇后両陛下には来る4月21日赤坂御苑において御催しの園遊会にお招きになりますのでご案内申し上げます 平成27年3月20日 宮内庁長官 風岡典之 一戸隆男殿 同令夫人」。超厚手の大きな封筒に入った豪華な招待状が届きました。私にとっては平成20年秋に続き2度目のお招きですが、それでも緊張のひと時。「謹んで出席させていただきます」とお使いの方に頭を下げる。
当日、私はモーニングコート、妻は訪問着姿で、午後1時半頃、指定された東門から入苑した。予め配布された駐車票をフロントガラスに添付すると、係員はシール部分に印刷されたホログラムと宮内庁の文字で直ぐに認識し、極めて丁重に指定の駐車場に案内してくれました。
この日招かれたのは約2200人。昨年ノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇氏、天野浩氏、中村修三氏や、東日本大震災で被災した三陸鉄道の望月正彦社長、俳優の津川雅彦氏、プロゴルファー樋口久子氏らの顔も見られた。美しい若葉が映える赤坂苑内をそれぞれ自由に散策し談笑する。制約は全くない。数カ所に設けられたテントには、オードブル、サンドイッチ、ちまき鮨、小指程ののり巻、焼鳥やジンギスカンなどが並ぶ。食材は皇室専用の「御料牧場」で育てられたものだそうです。もちろん、飲み物も揃っている。日本酒、ウィスキー、ビールから、数々のソフトドリンク、ポンチ、紅茶・コーヒー・日本茶、そして色々なデザート。雅楽や吹奏楽の音色が心を和めてくれる。演奏者は全て正装で格調高い演奏が続いた。
午後2時10分、天皇皇后両陛下と皇族の方々がお見えになると苑内は一気に静まり、ピーンと緊張の糸が張る。さすがに、世界に冠たる日本の象徴で、日本人にとって絶対的な存在。全ての人が深い敬愛の心を持つ。日本国の長い歴史と伝統の素晴らしさを改めて痛感した。
思えばインターハイ柔道重量級で優勝して拓殖大学へ進み、柔道部主将も努めた私は、卒業後、数々の大手企業の誘いを断って、ビルメン業の修業を8年間勤めた後、30歳で家内と2人でビルメンテナンス会社を設立して以来、36年たった今、自分がこの場にいることが不思議な気がするし、半生を振り返りながら熱い感慨を覚えた。私は「安全と衛生はその国の文化を計る物差しである」との信念を持っています。東京オリンピック、パラリンピックを控え、ビルメンテナス業界の責務は益々大きくなる。私はそのリーダーとして最大限の努力を続けたいと思っています。宮中伝統の菓子「菊焼残月」を頂いて帰路についた私の胸に、こんな思いが強く去来した。