平成26年度学友会留学生地域研修感想文(千葉班その3)

   2018/11/08

商学部国際ビジネス学科3年 ロ イリン(中国)

平成26年度留学生地域研修感想文(千葉班)⑦

初めに

千葉県といいましたら、浮かんでくるのが落花生・ディズニーリゾート・九十九里浜・成田空港、あと千葉に好きな芸能人がいることくらいですが。この度は、千葉県に対する認識を新たにしました。

県庁見学

千葉県庁を見学するため、学友会支部役員と議員の先輩方が案内してくださいました。県庁内をぐるぐる回り、様々なところにお邪魔しました。中国では県庁のことを「省政府」といい、その下に「市政府」と「県政府」があります。スペースが広くて、建物も公務員も非常に堅苦しい感じがします。千葉県庁の中の上下関係もかなり厳しそうですが、一つの集団として、和気藹々で、中国の地元と違う温かさが感じられます。議会はテレビでしか見たことはありませんが、実際その場におり、その座席に座って、少しですが政治家になった気分があったのは変ですかね。東日本大震災の影響で、議長の後ろの壁は当時かなり揺れていましたが、今すでに加固されており、安心感が一層増してきました。

座禅体験

仏教の理の解釈について、国ごと違っているのではなく、流派によって相違していることは初めて知りました。

住職の話しに従い、皆さんがお経を唱え、座禅場へ向かいました。座禅といえば、ただあぐらで目を閉じて座るだけだと思ったのですが、その手順がかなり複雑でした。一つ例を挙げると、縁側は仏様が食事をする場所ですので、そこに手や足などがつくのは禁止されています。縁側に触れずに座布団に座るのが皆さんを苦労させていました。

目を閉じれば住職の大自然の音を聞く意味が分かった気がします。風が吹く葉っぱの音や蝉の鳴き声が普段より美しく聞こえます。ずっと聞くと、気持ちよくなり、心身リラックス状態に入りました。肩を叩かれるタイミングはここです。痛くないという嘘は信じないでください。

そのあとのお茶会で、世の中の物事について仏教の視点で討論しました。住職の見解は仏教より中国の道教のほうに近づいていると、一緒に行った一年生の後輩と意見が一致しました。彼は子供のころから父親に道教の考え方で教えられ、住職の言った話が仏教の解釈だと受けられなかったそうです。

日本味の晩ご飯

長嶋先輩のお蔭で、初めて日本のお母さんの手料理をいただくことができました。ご友人の河野さんの奥さんと娘さんが大変豊富な食事を作ってくださいました。私はわけがあってお酒は飲めませんでしたが、他の三人が先輩方と杯を交わし、日本酒で深く話し合いました。このとき初めて長嶋先輩はすでに古希を超えたのを知り、お母さんは百寿を超えたことを知りました。それで話してみれば、皆さんの近くにほとんど百歳越えのお年寄りがおり、日本だけではなく、将来の中国でも少子高齢化は問題になるのではないかと思います。

そして後輩の王くんがお茶会での上の空状態について、当時それを見た先輩は若干気に食わなかったですが、王くんの事情を聴いて、「何だ、君はまじめな人ではないか」とお酒を飲みながら嬉しそうに言いました。アルコールはやはり不思議なものだと思いました。そしてますます中国の「乾杯」の意味が分からなくなってきます。自分のペースで飲めばいいものの、一気に飲み終わる目的は自己アピールしか考えられません。滑稽なものです。

夕食の時間は笑い声に満ちられ、あっという間に十一時になりました。酔いつぶれたリーダをみんなで支え、あの温かい家族たちとお別れしました。二日酔いを考量し、長嶋先輩は翌日の集合時間を九時に遅らせてくれました。しかしこうすれば、朝先輩の作った朝ご飯がいただけなくなってしまいます。が、それも後の話でした。

落花生工場見学

デニスでの朝食をとる間に先輩と動物について話しました。今おうちに燕の巣があり、望遠鏡で親が子を育つのを観察し、まじめに論文を書こうとしていると先輩が笑って語っていました。それをまくらとして引き出すのが親の大変さでした。実は子を育つために親が子供の餌になる事例は動物界に結構ありますが、それを人間の場合だと考えしたら、両親のことをいろいろ理解してあげるのは必要だと思います。自分自身が親になったときは、両親が自分に対する思いが初めてわかると母がよく言います。

食事を終え、落花生工場マルハチへ向かい、鈴木先輩たちと合流しました。

社長の秋庭さんが案内してくださいまして、日本一番の落花生に接近しました。工場で加工した落花生は殻まできれいで、ゆでたあとの落花生を真空の袋に入れ、大体二三十個で六百円前後です。換算すれば、同価額で中国では少なくとも未加工の落花生を四キロ買えることができます。中国では加工したものを買うより、未加工のものを買い、自分の好きなように料理するのが一般的です。ですから農家たちの処理手段も雑で、日本のように殻まできれいにすることはないです。

味ですと、それほど変わらないと思います。確かに中国の落花生といいますと、皆さんは汚い、おいしくないと認識しているかもしれませんが。私の知る限りでは、殻がきれいかどうかを除き、中国の落花生の実の大きさは決まってはいません。小さい実と大きい実が両方楽しめます。口実だと思われる可能性はありますが、確かに両方おいしいです。日本は生で食べるかどうかは存じませんが、生の落花生はみずみずしくてすごく甘いです。

実際畑にも行かせてもらいましたが、葉っぱを引っ張り、とった落花生の色を見ればわかります。未成熟でしたが、品種が今まで見てきた落花生とは多少違います。加工手法やお好みの違いもあるので、百パーセントは言い切れませんが、しいと言えば、日本の落花生は商品として一番ですけど、私は地元の落花生のほうが好きです。

手打ちそば

手打ちそばを食べるのは初めてではないが、作るのを見るのは初めてです。やはり量と量のバランスを重視しているようです。

よく言われます。中華料理はほかの料理と比べれば、作るのが難しいです。なぜと言うと、基本料理の素材が何グラム必要かは決まっており、その手順を従われば誰でもできるはずです。しかし中華料理でよく使われているのが「塩、少々」「砂糖、多め」など不確定な言葉です。これによって、同じ味の料理を作れる人がかなり少ないです。飲食店で料理人が換わったことがすぐ常連さんにばれてしまいます。

食事前に、先輩方に蕎麦屋の前に書かれている「商い」という言葉の読み方を聞くと、マルハチの社長さんが紙に「春・夏・秋・冬」四つの漢字を書きました。そして「秋」にバツ印を書いて、「秋をとって、あきないと読む」。ふと、「小鳥遊」という言葉を思い出しました。「鷹はいないから、鳥たちは自由に遊べる」と確かに先生にこう教えられました。その瞬間なぜだかわかりませんが、日本の言葉の面白さに鳥肌が立ちました。

そばは大変おいしくいただきました。日本に来て初めてつゆをつけて食べたくないそばに出会った気がします。甘くて、歯ごたえがあり、すごく食べ甲斐があると思います。

ここで長嶋先輩とお別れですが、留学生の皆さんの離れがたい気持ちがわかります。一緒に写真を撮り、先輩から明日の電車は何時だと聞かれ、ポケットから乗車券を出しました。「そうか、一号車か」と、不意の一言でした。

海岸に沿い、勝浦へ

平成26年度留学生地域研修感想文(千葉班)⑧

海辺育ちですので、海に対してはそれほど熱情がありません。しかし、黒い砂浜を見て興奮しました。地元では白と黄色のほうが多いですが、黒は初めて見ました。土だと思いました。先輩の話によると、砂の中に鉄分が多く含まれており、ゆえに黒く見えるのだそうです。勉強になりました。

夜は先輩が経営しているペンションに泊まり、晩御飯のときは前日と異なるテンションで盛り上がりました。鈴木先輩たちは民謡が好きらしくて、お酒を飲んで拓大の歌を歌いまくったあと、中国の歌が聞きたいとリクエストが来ました。

父は歌がうまい方です。が、正式の場合歌のオファーが来ると、大体歌う曲が同じです。『母親』という歌です。そして歌が終わったら必ず涙をこっそりと拭く人がいます。子供のころからずっと聞いてきた曲ですので、それを人生初歌ってみましたが、途中で何度も涙が出そうでした。

国に係わらず、時を遡り、親の時代の歌はとても素晴らしいと思っています。歌詞もメロディーも、その国の民族性も感じられる歌ばかりです。今になって、決して音楽を否定するつもりではなく、やはり、今のポップミュージック甘いです。曲の中身は空っぽで、何も感じられません。確かに聞くとき気分は高まりますが、そのあとは空虚です。

最後の半日

あいにく、三日全部雨でした。

ですが雨の中の勝浦はその独特の味があると思います。

海の展望台と博物館を見学したあと、勝浦担々麺をお昼として奢ってくださいました。スープの中に玉ねぎがたくさん入っており、見た目は実に地味でしたが、とてもおいしかったです。玉ねぎの甘みが非常によくスープに融和し、玉ねぎの嫌いな人でも平気に食べられると思います。

いよいよ最後の別れのとき、三日間本当にお世話になりました。先輩たちに感謝しきれません。

列車に乗り、疲れが一気に襲ってきて、皆さんは眠ってしまいました。三日間の旅行はあっという間でした。楽しかったですが、これからレポートを書かなければいかないね。それより晩ご飯はどうしますか。おうちにつくまであと少しの辛抱です。

と思いきや・・・
「あれ?みんな疲れてる?」とよく知っている声が耳に入りました。目を開けると、目の前に長嶋先輩がいました。皆さんを起し、何年ぶりのように先輩にそのあと何があったのを報告(はな)し、どうして先輩はここにいるのが不思議でたまりません。ちょうど途中で降りるから、みんなが一号車にいるのを知り、わざわざお弁当を送ってきました!道理であのとき乗車券を見たわけです。

列車はホームに止まり、先輩が外で手を振って、私たちも中で一所懸命手を振りました。動き始め、先輩の手を振る姿が見えなくなり、隣の男子が「泣きたいね」と小さな声で呟きました。すでに泣いてしまいましたけど、と恥ずかしくて教えませんでした。

先輩がくれたのは花寿司でした。中に紅ショウガが入っていまして、苦手ですが、水を飲みながら完食しました。ご馳走様でした!

終わりに

平成26年度留学生地域研修感想文(千葉班)⑨

初めての学友会留学生地域研修旅行が終わりました。人生の「初めて」が数多く詰まっていて、大変勉強になり、千葉県について認識が深まって、視野が広がりました。

研修旅行の最後の夜に留学生四人組は一つの部屋に集まり、話し合ったのです。お蔭で、新しい友達ができました。

大切な機会をいただいて、本当にありがとうございました。