日本レスリングの物語

   2014/04/05

日本レスリングの物語

柳澤 健 著
(岩波書店、¥2,730)

表紙はイケメン高谷惣亮選手

6月10日付朝日の広告に初めて登場した本だ。6月4日、オリンピックに出るレスリング代表3人(湯元、米満、高谷)が文京校舎に表敬訪問した時に、本書の実物紹介があれば、渡辺総長・学長も福田理事長も「オオッ!」と感動の声をあげたであろう。何しろ、表紙を占領している写真の人物が、出席者の高谷惣亮(たかたにそうすけ)(110期)なのだから。高谷を選んだのは岩波の女性担当者らしい。「今回のロンドン代表、男女合わせて一番のイケメン!」が理由らしい。拓大から表紙の人物が出たのは去年大人気を博した「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(新潮社)に続いて2年連続。しかも「木村政彦…」が大宅壮一ノンフィクション大賞を取ったばかり(5月)。その時、大賞と最後まで争った有力候補が柳澤健氏だ。氏は慶大法学部卒、文春「ナンバー」のデスクを経てフリーのノンフィクションライターで活躍中。この本が2012年大宅壮一ノンフィクション大賞の可能性は大だ。

本書は日本レスリング「世界最強化」の栄光、挫折、瞑想、そして再生への80年の歴史を描き切る。おそらく今秋発刊となる「日本レスリング協会80年史」(協会広報部)が書けない部分も多いのではないか?「拓大レスリング部50年史」(昭和13年6月1日創設)からの引用もある。戦後初の渡米代表・神田幸二(49期)はじめ、◆12章「女子レスリング」では当時拓大監督だった宮澤正幸(51期)が1960日本初の女子レスラー正式登録の秘話や、1984フランス女子大会と福田富昭団長(現会長)の大島和子選手デビュー戦も秘話。末尾に◆13章「少年レスリング」育成と全盛が楽しい。もちろんアテネの豊田雅俊(97期)からロンドンを含めた5人を育てた西口茂樹大学体育振興部長(自身もソウル・バルセロナ2大会連続)の名も輝かしい。

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