日伯の架け橋に! 燃える記者魂

   2014/04/30

サンパウロ新聞

九州福岡には、日本と南米諸国を股にかけて大活躍している若き猛者がいる。「ブラジル番長」こと吉永拓哉氏だ。氏は「サンパウロ新聞福岡支局長」の肩書を持つれっきとした新聞記者である。ところが、その経歴は極めて異色で型破りである。中学時代から暴れん坊で暴走族副総長を経て少年院に入った。しかし、その後、一念発起して南米大陸へ雄飛。情熱と挫折を繰り返しながらも南米放浪生活で様々な経験を積んだ。そして、現在、更正の道を歩んで、作家、講演、ボランティア、テレビ・ラジオ出演等、活動の場は多岐にわたる。

氏の父親は本学61期の吉永正義氏(兄と妹二人も本学卒業の拓大一家)。正義氏は、企業経営者として活躍され、若き日には北九州青年会議所の理事長にも就いている。一方、日本と南米の架け橋として、身を賭しての行動力は人々の心の琴線に触れ、多くの共感を巻き起こしている。その情熱と信念は衰えることを知らない。それゆえに、麻生太郎元首相やフジモリ元ペルー大統領など国内外の要人からの信頼も厚い。

そんな父親の背中を見て育った拓哉氏は、父の開拓者精神を見事に引き継いでいる。拓哉氏の足跡は、著書『ぶっちぎり少年院白書』(二見書房、2008年)、『ヤンキー記者、南米を行く』(扶桑社、2009年)に詳しい。さらに、今年5月に九州各局ネットで放映された「TNCドキュメント九州」では、本学OBで南米大陸奥地へと移住された高梨卓氏(58期)や丸山ツネ氏(短13期)などの大先輩を拓哉氏が取材する模様がTVで映し出された。この放送は単に九州各地で反響を呼んだだけでなく、本学OBにとって極めて感慨深い貴重な映像といえよう。

新聞記者として拓哉氏は愈々使命感を持って奔走しているものの、「もっと学問的な力を磨きたい(高校中退であるため)」という向上心から、仕事の傍らで学業にも励んでいるという。もちろん、将来の拓大受験をも視野に入れているようだ。「人生、回り道をした人間の方が伸びシロも大きい」、といわれるだけに、今後に大きな期待が懸かる。益々の拓哉氏の飛躍とサンパウロ新聞社の発展を願ってやまない。