拓大旗・南極にひるがえる

   2014/05/04

南極①

今回のBR連合会総会に参加された拓大工学部教授の巻田和男先生(BR連合会名誉会員)は、1997年から毎年2回来伯してブラジルIMPE(ブラジル宇宙研究所)と共同でブラジル・チリ・アルゼンチンに各種観測機器を設置し、磁気異常帯での観測研究をライフワークにしています。今回BR連合会総会参加に併せて来伯し、日本政府(極地研究所)推薦により日本人で初めてブラジル南極越冬隊に参加し、各種観測機器を設置し現在活動中です。南極滞在には約1ヶ月滞在し活動報告をその都度頂いており、当地新聞報道を通じて南極の様子などお知らせしています。そして南極に初めて拓大旗をひるがえしています。

下記の通り、活動中間報告を記します。巻田先生そのままの報告です。

第一報

こんにちは。

2月6日にリオデジャネイロを飛びたった海軍機は、ペロッタスに降りて、南極向けの装備品の貸与を受けました。ここで準備を整えてから、翌7日にぺロッタスからプンタアレナスに向かいました。飛行機は軍用機C-130のため、時速は500km程度しか出ない上に、2列に並んだ蚕だな式のいすに向かってすわり、窮屈な状況の中を6時間あまりのフライトの後、夕刻プンタアレナスに到着しました。翌2月8日に天候は曇りでしたが、プンタアレナスから南極へ飛び立ちました。およそ2時間30分くらいで、チリのフレイ基地に到着しました。南極の天候はみぞれ交じりの雪が横殴りで吹いていました。沖にはブラジルの南極輸送船が止まっていましたが、桟橋がないため、そこまで小さなゴムボートに乗り、行くことになりました。しかし、海は荒れていて、波しぶきをうけて、荷物もろとも濡れ鼠のような状態で、南極輸送船にたどり着きました。そこからブラジルのComandante Ferraz基地まではおよそ3時間くらいかかりました。途中多少ゆれたこともあり、かるい船酔いをし、ソファーで横になったりしていました。ブラジル基地の沖合いに船が着いたのは8時過ぎで、もうあたりは真っ暗になっていました。ここでもまた小さなゴムボートに乗り換えて基地のある海岸まで行かなければならない状態でした。相変わらず、雪交じりの風が吹いていて、船の中でやや乾いた体や衣類がこれで再び濡れてしまいました。

こんな状態で、何とかブラジル基地にたどり着いたというところです。一息入れてから、到着した夜、12時過ぎから歓迎会が開かれ、 明け方の3時ころまで続いていました。相当疲れていましたが、気が張っているせいか、翌日7時に朝食で起きました。しかし、天候は相変わらず悪く みぞれ交じりの風が強く吹いている状況です。今回は、南米のブラジルやチリ、アルゼンチンの10ヵ所近くに設置してきた銀河電波受信機の観測点を南極半島まで広げることを意図しています。そのため、何とか滞在中に設置し帰国したいと思ってます。昼過ぎに、基地の中心棟から500mほど離れた観測小屋のある付近のアンテナ設置予定地に来て見ましたが、途中には雪が3m近く積もっている上、セメントの土台などをブルドーザーでも運べない状況です。天候が回復し、少し雪が解けてくれれば、アンテナ等の設置作業を開始出来るのですが、今のところは設置場所を決めることくらいしか出来ません。基地に滞在するのはあと25日間くらいありますので、そのうち良い天気があることを願っています。

以上、南極に到着した近況をお知らせします。また、少し状況が変化しましたら、お知らせします。

巻田和男

第二報

こんにちは。

ブラジル基地に来てはや5日目になります。到着した日から数日は天候が悪かったのですが、昨日から良い天気になりました。外作業もこの2日でずいぶん進みました。もっとも、昨年基地に送った私の観測機材が、何の手違いか、基地からプンタアレナスに送り返されていたことが、到着した翌々日判明し、急きょプンタアレナスから基地に送ってもらうという、考えられないことがありました。 どこかしまらないブラジルの南極観測ということで、今は笑いで済ませますが、そのときは真っ青になりました。せっかくここまで苦労してきたのに、観測機材がないのでは話になりませんから。まったく油断もすきもありません。

ともあれ、今後もいろいろとありそうですが、無事、当初の目的を遂げられればと思います。なお、到着した時の観測棟をバックにした写真と、拓大旗を持った写真と基地に来たペンギンの写真3枚を送ります。では、また。

巻田和男

押忍
SP支部・島田政夫 拝

南極②南極③